人事考課の三つの要素「業績考課・能力考課・意欲考課(情意考課とも言う。)」の中で、意慾考課は新入社員から中堅社員に育つ間で、人材を育成するために最も基本的な重要性を持っています。
上級社員・管理職になれば業績を上げることが期待され、それが考課の中心に据えられ、そのための発揮能力・意欲は当然のこととして考課のウエイトは大層低いか、ゼロ配分になります。逆に言えば若いうちに意欲(モチベーション・やる気)を持って仕事に取り組む大切さを実践しながら学び、心身に叩き込み、将来管理職、または上級専門職として、業績を上げる準備を行うために考課の意味があるわけです。
意欲考課の基本ルール
意欲考課は与えられた仕事への取り組み姿勢で積極性・規律性・責任性・協調性を行動事実から読み取って考課するものです。 本人が仕事に対して示した意欲と同時に、職場で協力して取り組む仕事上のチームワークを高めるために示した意欲も考課の対象とし、仕事外のレクリエーションなどで示したやる気などは考課の対象外です。
考課期間は、業績・能力考課の対象期間と同じ、定められた期間(通常1年)で、その期間内の行動事実から、意慾・取り組み姿勢を読み取って考課を行います。
考課期間内で、重要な仕事の区切りの時期で能力考課と同時期に考課を行えば、実務的に考課を集中して行うことができ、便利でしょう。
意欲考課の問題点と対策・留意点
意欲考課の誤りは、次のように生じます。
1. 考課者自身が自分の意欲の高さを基準として考課してしまう。
2. 被考課者の性格(積極的・消極的等)を意慾として捉えて考課してしまう。 3. 被考課者の日常の言動や見かけから、意慾の有無やレベルを判断してしまう。 |
それらの誤りは、会社が定めた考課のルールに基づいて“仕事を遂行する上で被考課者が示した行動事実”に注目して意欲考課を行うことにより、防止することができます。
また、年度はじめに、社員に高い意欲を持たなければやり遂げることができないような仕事を与え、その遂行過程で示された行動事実を通じて考課を行えば、人材育成・的確な考課の一石二鳥の効果が得られるでしょう。