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期限切れ欠損金の範囲 法令規定と通達規定

期限切れ欠損金とは

 期限切れ欠損金は、法令上の用語でなく造語ですが、平成22年度税制改正で確実にその市民権を得ました。

 この期限切れ欠損金は、清算事業年度の課税方式が「損益法」に改められたことにより、債務超過法人に青色欠損金を上回る債務免除益が生じ、担税力のない課税所得が発生してしまうことを回避する目的で、一定の条件下で清算事業年度において損金算入を認めるものです。

 期限切れ欠損金の内容・範囲ですが、「過去の青色欠損金」、すなわち、所得から控除できる期限を経過(失効)してしまった欠損金(平成23年度税制改正で現行7年から9年に延長)ではないか、と思われがちですが、そうではありません。社外流出・損金不算入である「交際費」や「寄附金」もこの期限切れ欠損金に含まれています。

法令上の期限切れ欠損金

 欠損金については、法人税法で「損金の額が益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう」と定義しています。

 そして、益金及び損金の額については、法人税法で「別段の定めがあるものを除き、公正な会計基準にしたがって計算されるもの」と定めています。

 期限切れ欠損金は、これら定義からすると、青色欠損金の内、控除期限を経過した欠損金から成るものと理解されます。

通達における期限切れ欠損金

 しかし、通達における期限切れ欠損金は、①「期首現在利益積立金の合計額として記載されるべき金額で、当該金額が負である場合の当該金額」- ②「青色欠損金等の額のうち損金の額に算入される金額」と規定しています。いわゆる、①は法人税の申告書別表5(1)「31」①欄の金額、②は法人税申告書別表7(1)「2の計」欄の金額ということになります。

 この通達の規定では、期限切れ欠損金には、社外流出・損金不算入である「交際費」や「寄附金」をも含んでいます。

何故、通達の規定なのか

 一つには、過年度の期限を経過(失効)した青色欠損金を補足することは困難であること、もう一つは、損金に、別段の定めにより社外流出・損金不算入となる「交際費」や「寄附金」を含めても、納税者にとって損金算入の額が拡大し不利益にはならない、さらには課税実務の簡便、ということなのでしょうか。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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