目標管理制度は1950年代に著名な経営学者・ドラッカー教授が提唱、日本に紹介され多くの企業が導入しました。
実態から見ると目標管理制度は次のような目的で活用されています。
1.主に人事賃金制度上で等級や賃金を決定する人事評価の手段
2.本来の目的である経営計画の分担と達成の手段 3.社員の主体的経営参加を促す手段 |
目標管理制度活用の問題点
それらの目的は、本来相反するものではありませんが、多くの企業で人事評価の手段として活用されているため、制度の実施主体が人事部門となり、制度運用のしくみには明確に賃金決定・等級など処遇の変更が組み込まれており、管理者と社員はそれを意識して目標の設定・達成・評価にかかわるようになっています。
例えば、通常、目標の達成による等級・賃金の決定基準が公開されていますから、管理者も社員も当然それを意識して活動することになります。
それはそれで正しい活用方法なのですが、人事評価の手段であることを、強く意識し過ぎると、相対的に本来の目的である経営計画の分担と達成の手段としての機能が希薄化されかねません。
今後の課題
経営計画の分担を行うには、経営目標から順次ブレイクダウンする分担目標の設定に漏れをなくす必要があり、また社員の主体的経営参加を促すより高い目標設定を誘導することも重要になります。
また、多くの企業で複数部門が共同でチャレンジすべき目標が増加していますからチーム目標の設定や、チームマネジメントの重要性が高まっています。
また、目標達成の的確性向上には、目標設定時にその達成方法を良く考え、達成プロセスでは状況変化に上手に対応しながら達成努力を行う必要があり、担当者の能力と、それを支援する管理者のマネジメント能力向上に注力しなければなりません。
経営者の留意点
このような目標管理制度の機能改善を図るには、人事部門と経営企画・管理部門が共同して取り組むようトップが誘導すると良いでしょう。