昨年12月28日、法務大臣による臨時記者会見で、「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」の検討結果と、今年春以降に制度の実施を予定していることが公表されました。この制度は、在日している外国人に対して学術や技術、経営などで高度な資質・能力を有すると認められた場合にポイントを付与し、ポイントの合計額が一定点数に達すると出入国管理上の優遇措置が与えられるというもので、ポイントは学歴、職歴、年収、年齢などを点数化することにより算出されます。
どんな優遇措置が受けられる?
外国人が日本に在留するには、活動内容に応じ、27種類ある在留資格の中から活動内容に最も適した在留資格一つを選び取得する必要があります。現在の外国人に対する活動範囲は非常に限定的で、たとえば調理人として働くための在留資格を取得した外国人が来日した場合、その外国人の日本における仕事の範囲は調理人としての活動に限定されます。これに対し、高度人材として認められた場合には、従来のように限定的な活動内容に縛るのではなく、その外国人の持つ高度な資質や能力を活かした複数の在留資格にまたがる活動や、事業経営活動が許容されることになります。
また、高度人材本人だけでなく、その配偶者に対しても優遇措置が認められます。就労目的で在留する外国人の配偶者については、一般的に「家族滞在」という在留資格が付与されますが、この在留資格は原則的に就労することはできず、就労したい場合には入国管理局で資格外活動許可とよばれる許可を得る必要があります。ただし、この資格外活動許可には就労時間の上限が定められており、週28時間までしか働くことができません。しかし、今回のポイント制により高度人材に認められた外国人と同居する配偶者については、一定の要件を満たすことで週28時間を超える就労が認められるようになります。
高度人材はどんな人?
高度人材の認定対象は、学術研究、高度専門・技術、経営・管理の3分野で活躍する外国人で、学術研究を行う研究者や技術者、企業の経営管理を行う方などが想定されており、かなり限られた人材に対する優遇制度となっています。法務省では制度開始後1年を目処に、状況を分析し制度の見直しを検討する意向を示していますが、これにより一般的な外国人の方の活動制限に対し影響をもたらす可能性はあるのか、今後の動向に注目が集まります。