エコ意識が高まり環境保全活動が注目されている中、国土交通省では環境行動計画に基づき、運輸事業者に対し環境負荷の少ない事業運営を目指すグリーン経営の普及を進めています。
運輸事業とグリーン経営認証
トラックやバスをはじめとする運輸事業は、経済活動において非常に大きな役割を担う一方、走行に伴う二酸化炭素の排出等大気汚染や騒音の問題は深刻な問題です。こうした問題に対し、各運輸事業者が環境保全を社会的責任としてとらえ、自主的な環境保全運動を推進し、運輸業界における環境負荷の低減につなげるために創設されたのがグリーン経営認証です。
グリーン経営認証は、交通エコロジー・モビリティ財団と国土交通省が作成したグリーン経営推進マニュアルに基づき、一定のレベル以上の取組みを行っている事業者に対して審査の上認証・登録を行う制度です。平成15年からトラック運送事業を皮切りに、平成16年にはバス・タクシー事業者、平成17年には旅客船・内航海運・港湾運送・倉庫事業向け制度と、段階的な導入が行われ、平成23年12月までに全事業で合計3,617の事業者が認証されています。
ISO14001認証制度との違い
同様の環境対策制度としてISO14001が挙げられますが、これは環境改善を図るための体制や書類の整備といったマネジメントシステムの適合性を審査するものであり、グリーン経営認証制度は環境改善の取組結果を審査するものです。また、ISO14001に比べ認証予算が少額であり、中小企業でも取得しやすいのが特徴です。
認証制度発足から8年
今年2012年、地球温暖化対策を定めた京都議定書の第1約束期間が終了します。これに伴い、昨年11月28日から12月11日まで南アフリカのダーバンで国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)が開催されましたが、その結果、2013年以降日本は温室効果ガスの法的削減義務から逃れ、自主的努力をすることとされました。京都議定書の目標達成計画においては、運輸事業のグリーン経営普及を促進する旨宣言されており、京都議定書の終了がグリーン経営認証の普及意識に何らかの影響がある可能性も考えられますが、一般の方の車選びの基準としても「エコカー」「低燃費」の合言葉がこれほどまで定着した今、やはり事業者として環境対策へ取り組む姿勢は、今後も怠ることのできない課題であることは間違いありません。