賃金項目の中に住宅手当・家族手当・安全手当など一般的な項目のほかに様々な手当があり、過去の経緯があって、従業員の既得権となっており、経営者にとっては、「なくしたいのだが、なかなか手がつけられない。」と言う場合があります。また、反対に本給に入れずに手当の新設又は増額で従業員の意欲向上を図りたい場合もあります。
賃金制度は一般に10~20年程度の期間ごとに、採用の有利性確保や、経営計画目標達成、モラールの維持・向上などのために、外部環境を考慮に入れて改定することが必要ですが、諸手当の整理もその一環として整理することが得策です。
諸手当整理の考え方
賃金は労働時間とともに最も重要な労働契約の項目ですから、その一部分である手当についても、例えば次のようにしっかりした考え方・方法で整理する必要があります。
手当の整理に関する会社の方針例
「会社への貢献に従って適正に賃金を支払う。」と言う賃金改定方針のもとで、賃金体系、賃金配分を見直す一環として手当を見直す。 1.会社への貢献とは直接関係のない属人的要素に基づく手当を原則的に廃止する。 2.会社の業績向上のための能力開発に役立つ等、積極的意味がある場合は手当の新設、又は増額を検討する。 |
方針に基づいて現状の手当項目ごとに、廃止・継続・増額とその理由を検討します。例えば、
1.過去に特別な事情があって設定され、現状では意味が極めて薄い手当、過去の経営者が温情的な考え方で設定し、現在の会社の賃金に関する方針と合わない手当は廃止します。
2.逆に本給に含まれず、時間外手当の算定基礎にならない手当を新設することで、業績向上に役立つ場合は新設又は増額します。
整理の実務的留意点
減額の場合には、単純に減額することによる既得権の侵害、モラールの低下が逆効果になることがあり、「廃止又は減額する手当」を「新設又は増額する手当」と相殺する、減額分を他の賃金項目に振り替える等、納得が得られる改定方法をとることにより、無用なトラブルを防止することが肝要です。