マスコミにみる今年の大綱
12月10日、2012年度税制改正大綱が公表されました。消費税増税を控えて場当たり的とか、小粒な内容とか、政策理念がないとか、マスコミ評価は惨憺たる状況です。
自動車重量税の軽減が取り沙汰されていることの外は、目立つ形で取り上げられていません。
むしろ、この税制改正案が、今年もまた、まともな国会通過を果たせないのではないかと心配になってしまいます。
大綱の拾い読み
税理士の目から注目される制度改正をピックアップしてみます。
① 給与所得控除の見直し
② 退職所得課税の見直し
③ 住宅取得資金贈与の非課税枠拡充
この①と②は昨年の改正予定で積み残しとなったものなので、2番煎じです。同じく積み残しの相続税増税・「納税者権利憲章」策定などは姿を消しています。③は今年のささやかな目玉です。
給与所得控除の見直し
イ 給与所得控除の上限設定
給与収入が1,500 万円を超える場合の給与所得控除額については、245 万円の上限が設けられます。
ロ 特定支出控除の見直し
〇弁護士、公認会計士、税理士などの士業資格の取得費が特定支出の範囲に追加され、図書費、衣服費及び交際費等の「勤務必要経費」も、特定支出の範囲に追加されます。
〇給与所得控除の2分の1の額も特定支出の範囲に追加されます。
退職所得課税の見直し
役員等としての勤続年数5年以下の者が受ける「役員退職手当等」については、2分の1課税の措置が廃止されます。
「役員等」には、通常の法人役員のほか、国会議員及び地方議会議員、国家公務員及び地方公務員が含まれます。
住宅取得資金贈与の非課税枠拡充
平成23年までの非課税贈与枠を、事後3年に亘り漸減しながら延長するとともに、優良住宅向け特別拡充枠が設けられました。
23年の1000万円枠は24年まで延長し、その後25年は700万円、26年は500万円と漸減します。ただし、省エネ・耐震住宅取得資金の場合は、24年1,500万円、25年1,200万円、26年1,000万円です。