税法は侵害規範なので文理解釈に依るべき、とは判例や学説での通説的見解です。
償却費計算規定の文理解釈
それで、減価償却の規定をみてみると、
第1項で、「各事業年度終了の時において有する減価償却資産」について規定し、
第2項で、適格分割等による期中移転資産について規定しています。
すなわち、①期末に在る資産、②適格分割等での期中異動資産、この2つに対してしか規定は存在していないということです。
そういうことからすると、この2つ以外、①非適格組織再編での期中異動、②期中売買、③期中除却・廃棄、④その他、の理由での期中異動・期末不在資産については、税法に規定がないということになります。
これが文理解釈から出てくる結論です。
規定がないものにたいする国の見解
国税庁は10年前、年度末資産に限定の規定に法改正されて直ぐ、年中の譲渡資産の償却費を必要経費に算入しても差し支えない、と見解を示し、また、この改正に期中譲渡資産の譲渡時までの償却費の計上を否定する趣旨はない、と言っていました。
グループ法人税制施行時にも、譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、としています。
国の見解をどう理解する
この、国の見解に対しては、次のような異なる理解があります。
①規定のない期中異動資産に対する償却計上は会計慣行に依ることになり、税法制限はないことになるとの表明。
②立法趣旨は期末資産と適格組織再編での期中異動資産に限っての償却費損金算入容認規定なのだから、納税者有利な超法規解釈と言うべき。
在野にも多い超法規解釈派
期中償却はできないと②の立場を原理的に書いて、後の号で「質疑応答事例」などの存在を理由に訂正をしていた税務専門誌もあります。しかし、訂正の真の理由が①から来るのか、②だからなのか、曖昧です。
国税庁に超法規解釈の権限はないし、通達立法・解釈立法をするつもりも無いと思われますが、ネットで検索をして出てくる在野の理解としては、意外と、国税庁への不信とも言える超法規解釈派が多いように見受けられます。