不可能を前提とする制度
今年の3月決算法人からはじまった、グループ法人の個人親族オーナー株主グループに係る完全な出資関係図となると、その作製は絶対に不可能です。
しかし、完全な系統的出資関係図の存在抜きにグループ法人税制は法律通りには機能しません。
不可能なことを前提にして、可能にすることを追求するとしたら、国内の完全支配関係にある法人と個人親族の一大相関関係図を作成する巨大なプロジェクトを立ち上げなければなりません。
完全なものを作ることが可能だとしたら
巨大プロジェクトが国税庁の大型コンピューターを駆使して、まず、提出された「出資関係図」を接合し、税務署に集積されるその他の情報もそれに付加し、漏れや穴を塞ぎ、細密化・総合化を繰り返して、完成度を高めていくことになります。
そういうことがすでに始まっているとして、その情報は、法人情報を媒介として、結局は個人情報の集積をすることにもなります。
そうすると、日本国民及び日本国内にいる各国の「在日」の方々の全体を包含するような、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族、及びそれと接触する事実婚者、お妾さん、使用人とそれらの親族を含む、相関関係図が出来上がることになります。
そういうことが何を意味するか?
不気味な印象が生まれてきます。
第一に、デジタルデータで作られたものは、ウィキリークス事件から想定して、“情報は必ず漏洩する”と考えるべきです。
第二に、例え守秘義務があるとしても、悪意をもって、あるいは確信犯的に、漏洩する内部の関係者の出現も、過去の事例からして、皆無とは言えません。
第三に、憲法の保障する「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別されないために「秘匿」していることが公開の憂き目にあいかねないことになります。
国税庁は問題意識をもつべき
巨大プロジェクトには憲法の最も根本的な原理に関わる重大な問題が孕んでいます。原則として、「出資関係図」の間の情報接合作業は禁じないと、由々しき事態が起きかねません。そして、不可能を前提とする法制度も見直すべきです。