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年俸制の留意点

 「年俸制」とは「働いた時間の長さでなく、労働者の能力や業績に応じて賃金を決定する制度」で、例えば年俸額を17等分し、12を各月払い、5を年2回の賞与として支払う支給方法が多いと言えます。

「年俸制」の活用方法と効果

 「年俸制」を適用するのが適した労働者は主に次の通りです。

  1. 労働基準法第41条第2号で労働時間の規制が除外されている管理監督者・機密事務取扱者
  2. 労働基準法第38条の2で、労使協定により、みなし労働時間制を合意し、それに応じた年俸が設定されている企画型裁量労働制・専門業務型裁量労働制適用対象者

 「年俸制」を採用した場合は「目標管理制度」等による成果目標達成度・能力発揮度の評価結果に応じて年俸額を改訂することにより、労働者の自発的努力を引き出すことができます。

 しかし、経営者がこのような効果を期待しても、特に②のケースで、実際には「時間外割増賃金」を支払わなければならないリスクが生じますから、制度設計・運用上注意が必要です。

経営者・人事部門の留意点

 「年俸制」を採用する場合、経営者・人事部門は次のリスクに留意して制度設計・運用管理を行い、制度活用に期待する効果をあげて頂きたいと思います。

【リスク1】

 1週又は1日の実際の労働時間が労使で協定した労働時間を超えた場合は、「時間外割増賃金」を支払わなければならない。

【リスク2】

 年俸をあらかじめ月払いの部分と賞与部分とに分けて設定してある場合の賞与は、法令上の賞与の定義(「賞与は支給額を予め設定していないもの・昭和22年・通達第17号」)に該当せず、「平均賃金」や「時間外割増賃金」の算定基礎に算入しなければならない。このリスクが【リスク1】のケースに適用されると高額な「時間外割増賃金」を支払わなければならない。

 リスクを回避する方策としては、労使協定の前提として、対象労働者自らが労働時間を短縮しつつ成果をあげる生産性の高い仕事の進め方を意識する評価制度を設け、年俸中の賞与は会社業績や個人の成果・能力に応じて変動させることが必要です。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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