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グループ法人税制 寄附金と受贈益の取扱い

資金調達の中立性

 100%支配グループ内の法人による完全支配関係にある内国法人間の寄附金については、支出法人においては全額損金不算入、受領法人においては全額益金不算入となります。

 この規定にも、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性の確保と言った制度創設の趣旨が伺えます。

制度対象の限界

 ただし、この寄附金の取扱いは、100%支配グループの中の、法人によって支配されている内国法人にのみ適用されます。直接の株主として個人株主が一部にでもいる法人が寄附の当事者になっている場合には、適用されません。株主個人間の財産の異動にこの制度が節税策として利用されるのは困るとの理由で法人支配に限っているからです。

制度誘導している組織関係

 そうすると、これからは、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、兄弟会社の上に全会社を統括する持株会社を設けて親子関係にするとか、兄弟関係を親子関係に組み替えるとか、ということが複数法人間の関係のあるべき姿として制度誘導されていくことになるのではないでしょうか。

子会社株式簿価修正という課題

 また、100%支配グループ内の寄附金の制度は、親会社に新たな事務を課しています。子会社に寄附の授受の事由が生じたら、その子会社株式簿価に、益金不算入・損金不算入となった寄附金の額相当額を加算・減算する簿価修正作業をします。

 目的は、グループ法人間の寄附についての制度を利用して、グループ法人間で株式価値の移転を企図し、株式価値の小さくなった子会社株式の譲渡により作為的に損出しすることを防止することにあります。

簿価修正強制の及ぶ範囲

 この帳簿価額の修正は、グループの頂点の法人株主まで連鎖的に行うことが制度の整合性の観点から望ましいものの、制度の実行可能性から、直接の株主段階のみ行うこととされています。直接の株主が個人株主の場合には、個人株主に法人税のこの規定を及ぼすことはできませんので、寄附修正の効力はここで行き止まりです。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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