相続により取得した財産が大震災により甚大な被害を受けたときは、現法上、災害免除法による相続税の減免措置があります。
手続きとしては、その被害が相続税の申告期限前と申告期限後によって異なります。
なお、適用にあたっては、被害割合について一定の要件があり、当該要件は申告期限前でも期限後でも同じです。
(適用要件)
- 取得した財産の価額の内、被害の割合が10分の1以上であるとき。
- 取得した動産等(金銭及び有価証券を除く等)の価額の内、当該動産等の被害の割合が10分の1以上であるとき。
上記要件は、相続人ごとに判定し、いずれかに該当すればよいことになっています。
申告期限前と申告期限後の取扱い
被害が申告期限前であれば、被害相当額は課税財産の価額から控除して相続税額を計算します。
一方、被害が申告期限後であれば、被害相当額に対応する相続税額が免除されます。
しかし、この免税は、延納などによる未納税額がある場合に限り適用され、完納されていれば適用されません。
ここが問題です。相続税を金融機関等から借入れて全額納付し、必死に、その借入金を返済している相続人であっても適用されないことになっています。
そこで、今回の東北関東大震災に伴う特例法の制定にあたっては、一定期間を区切り、相続により取得した財産に変動がない限り、完納している場合でも何らかの減免措置を講ずべきものと考えます。
被災した地域の土地の評価
阪神淡路大震災の被災者等の特例法では、指定地域内にある土地等については、震災直後の価額で評価できることにしました。具体的には、相続発生が震災前年であっても、震災年度の財産評価基準に定める通常の路線価または倍率に、調整率を乗じたものでした。
しかし、今回の震災は、土地そのものが震災により損失を受けた、まさに物理的損害(隆起、陥没、亀裂等)の存在は無視できません。それ故、調整率等の算定にあたっては、その実情を十分に反映されるべきものと考えます。
また、今回の特例法制定においては、大震災直後に発生した相続についても申告期限の延長を認めるべきと考えます。