「品質管理」の分野で“慌て者の誤り・α(アルファ)”とともに使われる指標に“ぼんやり者の誤り・β(ベータ)”があります。前者については既に解説しましたので、ここでは後者の“ぼんやり者の誤り”について説明します。
その本来の意味は「出荷検査などで不良品が無視できないほど多いロットなのに、誤って合格と判定してしまう誤り」のことを言いますが、日常の生活や仕事でも常にそれに似た誤りが起きる可能性があり、注意を必要とするのです。
よく起こる“ぼんやり者の誤り”
社員がぼんやりして、不良品を見落とす、標準作業の実行に抜けが起きる、商品開発業務で重要なチェック項目をぬかしてしまう、営業担当者がお客様の重要なクレームについて聞き逃してしまう、・・・・個人の生活でも忘れてはならない重要なことから、日常的に使う生活用品の保管場所まで、忘れてしまって困ることは枚挙にいとまがありません。
経営者と言えどもその危険は避けられず、誤ったときの被害・責任は会社の存立にかかわるコンプライアンスの問題や顧客の信用喪失など、社員に比べてより大きなものになります。
経営者の留意点
“ぼんやり者の誤り・β(ベータ)”を根絶するのは、人間がやることなのでなかなか難しいことですが、その可能性を最少化する経営努力、個人的努力は惜しむべきではありません。その方法としては次の考え方、行動をとるのが良いでしょう。
1.全社的な方針徹底
① 5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)
② 三現主義(どんなことでも、地位にかかわらず現地で現物を見て現実に即して判断、例え、新入社員が発見したことでも部長といえども軽んじない。)
③ 早期発見、小さなうちに処置をとり、大きな問題を未然に防ぐ。
2.しくみ化
① 製造現場では、ばかよけ(フールプルーフ)の工夫(不良品を自動的に発見する装置などの工夫)
② 開発業務・営業・経営管理、間接部門では「チェックリスト」の作成、活用