民法における果実とは
民法で果実というときは、天然果実と法定果実とに分類されます。天然果実と言っても、野生の果物の意ではなく、人工栽培の果物のみならず、すべての農業漁業林業畜産業鉱業等の第一次産業の生産物を含みます。採取したキノコやタケノコ、米麦芋豆等の穀物から、さらに漁業生産物、鶏の卵や雛、乳牛の牛乳や仔牛など畜産資源、そして採掘する鉱物資源も含まれます。常識的な言葉のニュアンスよりかなり広い意味で使われています。
これら天然果実は、「物の用法に従い収取する産出物」と規定されています。この規定から上記の理解をするのは困難です。また、法定果実の方はと言うと、「物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物」との規定になっていて、受取利息や不動産賃貸料、小作料などを指すとされています。規定の理解としては、こちらの方が納得しやすいかもしれません。
とはいえ、「果実」という意味がここまで拡大してくると、「果実」という言葉をなぜ使うのか、心理的には拒絶感が生じます。
現金は“物”か?
果実を生じる元となる物を元物と言います。元物と一体である状態において果実は成長し、あるタイミングにおいて分離され、元物とは別な「物」になります。ちなみに、現金は「物」か?という疑問も湧くところですが、国家によって強制流通力を付与された貨幣紙幣という有体物と説かれています。現金は物なのです。そして、果実にもなります。
果実の相続税財産評価
相続税における財産評価では、元物から分離した果実は当然に独立の財物として評価します。また、天然果実は有体物なので未分離状態でも「果実」としての物なので特に問題はないものの、法定果実は現金として収受する以前は債権に過ぎず、物ではないので、「果実」と言える要件は充足してはいないものの、ネーミングはともかくとして、元物と一体の状態においても財産価値が認められるので、独立した財産として評価します。
未分離の「法定果実」としては、配当期待権や株式無償交付期待権、預貯金・貸付金の経過利子などがあります。
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