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急浮上した繰越赤字の半分の利用制限案

赤字会社数過去最高

 直近の国税庁公開統計情報によると法人の黒字申告割合は25.5%で過去最低だそうです。公務員と大企業の正社員中心主義社会を維持する上で下請け中小企業の利益が圧迫されることが必然となっている構造下では赤字法人比率は中小企業に不可避的に高くなっていると思われます。

赤字会社の欠損控除を制限する案

 税制調査会のホームページに公開されている経済産業省からの税制改正要望によると、大企業の法人税率を30%から25%に引き下げるための財源の一つとして繰越欠損金の使用制限を上げており、この財源確保のために中小企業の税率18%の11%への引き下げも行うとしています。

 大企業税率5%引下げに要する所要財源は約1兆円で、中小企業税率の引下げ財源は1600億円だとも書かれています。

繰欠の半分制限という新聞報道

 日本経済新聞10月29日1面の報道によると、企業が欠損金を翌期以降に繰り越して課税所得と相殺できる制度について、課税所得の「半分まで」に利用を制限することがたたき台となっているとのことです。

 欠損金の大部分は中小企業において発生していること、財源発掘の目的が大企業税率の引き下げであることの相互の関係からして、これは穏やかならざる情報です。

多数派中小企業のメリットか?

 中小企業の反発を抑えるための口実として中小企業の税率18%の11%への引き下げも提案されていますが、これは赤字の企業には直接的には関係ない話です。

 また、交換条件として、赤字の繰越期間7年を大幅に延長するとの案や、相殺できる赤字の範囲を拡大するとの案が出ています。そうなると、従来の考え方からすると、それだけ更正可能期間も延長になります。

繰欠の半分制限が実施されると

繰欠半分制限の提案通りとなると、繰越赤字がいくらたまっていようと、損失発生年以外においては、法人税の課税所得はゼロには決してならないことになります。課税所得が半分に圧縮されることを限度として赤字の利用ができる、にすぎなくなるからです。

 突然湧き出た今年の税制改正をめぐる中小企業にとっての大問題です。

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