“希望的観測”とは信念の一形態であり、証拠や合理性ではなく、「そうあって欲しい」とか「そうだったらいいな」と言う希望に基づいて判断を行うことで、誤謬の一種ともみなされ、事柄の真偽を事実に基づかずに希望に基づいて決定する場合を指す、とされています。
“希望的観測”の恐ろしさ
近年の世界経済に巨大な負の影響を与えた“希望的観測”の代表は、アメリカに於いて「金融工学」と「住宅が必ず値上がりする、と言う希望的観測」が結びついた「サブプライムローン問題」でしょう。
このような問題は、世界経済だけに現れる訳ではなく、企業の事業計画に於いても経済・技術革新・法令改正の動向など外部環境に影響される以上、“希望的観測”が起因して「あてが外れる」土壌があります。
また、顧客との取引に於いても常に“希望的観測”が生まれる可能性があります。“希望的観測”は誤りだと分かった時に大小の損失を招く怖さ・恐ろしさがありますが、それでは“希望的観測”は本質的に避けるべきことなのでしょうか。
実は“希望的観測”も必要なのです。
“楽観論”と“悲観論”のバランス
事業を進める上で常に楽観的な見方と悲観的な見方は両方とも必要です。
例えば高齢化が進行する外部環境の下で事業展開を考えると、「高齢者の真の生活ニーズは何か」に迫り、それに応えることによって儲ける“希望的観測”(楽観論)は大いに持つべきもので、同時に「高齢者の財布の紐は堅いぞ」と慎重に考える悲観論の見方も必要と言えます。
事業ではできるだけ外部環境の変化を兆候的な事実から的確に予測することが大切ですが、それでも予測しきれない政治動向や市場環境の不透明性が残ります。
したがって実際問題として的確にビジネスチャンスを生かし、利益を確保するには楽観的予測(希望的観測)を持って準備を積極的に行い、一方で悲観的予測も考慮に入れて、状況を見ながら柔軟に対応する慎重さをあわせ持つバランス感覚が必要であると言えます。
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