「品質管理」の分野に“慌て者の誤り(危険率・α(アルファ))”と言う指標があります。例えば抜き取り検査で出荷検査を行う場合、「良いロットなのに、不合格と判定してしまう誤り」が“慌て者の誤り”ですが、検査の分野に限らず経営活動の全ての分野で日常的に発生しています。
組織でよく起こる“慌て者の誤り”
部門長・課長などマネジメント層でよく起こす“慌て者の誤り”は、何か問題が生じた時、ただちに対策を指示する「対策直行型発想」で問題の原因追求を怠り、解決の的を外す原因になりがちです。
それは、「起きた問題を早く解決してしまいたい」と言うちょっとした焦りと、「その程度の問題なら自分の経験と能力で簡単に解決できる」と言う自信過剰が結びついた場合に起こることが多いようです。
「対策直行型発想」は概ね、部下に対して「すぐ○○の処置を取りなさい。」と言った具体的行動を指示するカタチで示されます。極めて簡単な問題なら管理者の経験と勘で見事に解決してしまうのですが、少し問題が複雑になった場合には真の原因を見誤り、的はずれな具体策の指示になってしまうことが多いのです。
この時、その問題が起きた現場で働いている部下は、直観的に「この指示は何かおかしいな」と気付くことが多いようです。
しかし、上司に対して「判断が誤っていますよ」と率直に言えない、言う自信もないので、「納得はしていないが指示された以上はその通りに実施する」ことになります。
そして問題が解決しないと、ああでもない、こうでもないと次々と対策を繰り出す「モグラ叩き」に陥ってしまいます。
“慌て者の誤り”を回避する方法
根本的解決策は、問題の原因を“三現主義”(現地で現物を見て、現実に即して的確に判断する)の徹底にありますが、それ以前に現実によくある障害は肝心の管理者が自分のやり方を固定観念化しているため、なかなか問題の見方・解決の考え方を変えられない、と言う厄介な点にあります。
そこで、問題が起きた時にトップが頭の固い管理者を伴って自ら現場へ出かけ、現場にいる社員とともに問題の現物(製品そのものや帳票など)を見て原因を突き止めて見せるのが管理者達の意識転換を図る上で効果的なOJTになります。
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