利益積立金とは
現在の税法では利益積立金とは「法人の所得で留保している金額をいう」とされ、過去の累積留保利益を意味するもので、委細の政令委任により、〇〇〇に掲げる金額の合計額から〇〇〇に掲げる金額の合計額を減算した金額、と規定してマイナスの数字もあり得る、との表現になっています。
平成12年までは、〇〇〇に掲げる金額が〇〇〇に掲げる金額を超える場合の超える部分の金額、との表現によりマイナス金額はあり得ないことを示していました。
清算所得課税はどうなる
マイナスの利益積立金というのは、過去の累積の欠損金を意味します。
残余財産-資本金等-利益積立金=清算所得
清算所得課税の公式はこの通りなのですが、大赤字つづきの会社が清算すると、マイナスの利益積立金についてマイナス計算することになり、課税所得が生ずることになってしまいます。これは不合理なことなので、実務においては、マイナスの利益積立金は清算所得計算上ゼロと扱っていました。
法律の奇怪な改正によりあまりに不合理な事象を生ぜさせておいて、実務では法律を無視して課税の留保をすることは、法治国家ではあるべきではありません。
恣意的な運用に至る
事前に国税局(税務相談室)に対し電話確認で「解散時の利益積立金額がマイナスの場合は0円として取り扱っている。」との回答を得ているにもかかわらず、税務調査において、利益積立金がマイナスの場合にはマイナスのまま計算すべきである、という理由で更正処分を受けたという事例があります。清算中に含み益のある資産の譲渡が行われていたのが理由ですが、マイナスをゼロとするのも法律無視ながら、別なケースではマイナスの全部または一部をマイナスのマイナス処理するのも恣意的です。
徴税権力の恣意性を排除することに租税法律主義の立法精神があるはずなのに。
清算所得課税廃止の誘因か?
この事案は、国税不服審判所で納税者敗訴となっています。資本金等でも、MBOの結果の自己株取得で多額のマイナス資本金等を生じさせているケースでは同じ不合理計算になります。
今年の清算所得廃止の改正は、平成13年の奇怪立法のツケをここで解消しようという誘因で企図されたようにも思われます。
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