改正の大きな柱は3つある
昨今の景気後退で企業の労働時間は減っており、残業時間の減少は顕著であります。しかし働き盛りの30代の男性は労働時間が最も長く、メンタル面でも一番支障を持っている世代かもしれません。このような背景の下、労働基準法が4月より改正されました。
①時間外労働の限度に関する基準の見直し
労働時間は原則1日8時間、1週40時間と定められていますが、労使で協定を結べばこれを超えて働くことができるようになっています。一方時間外労働の限度時間の基準がありますが、今回の改正はこの限度時間を超えて働く一定期間(1日を超え3カ月以内、または1年間)ごとに割増賃金率を現状の2割5分を超える割増率を定めるよう努めることとしています。
②法定割増賃金率の引き上げ
1カ月の60時間を超える法定労働時間外労働について、割増賃金率が5割に引き上げられます。この場合で深夜労働においては2割5分と60時間を超えた場合の割増率5割以上で7割5分以上になる計算となります。又、法定休日(1週間に1日または4週に4日の休日)に労働させた場合は3割5分以上の率で計算した率となります。この1カ月60時間を超える法定時間外労働は労使協定で代替休暇に代える制度を設けることもできます。
この法定割増率の引き上げは、中小企業については当分の間適用が猶予され、3年経過後に導入が再検討されることとなっています。
③年次有給休暇は時間単位付与ができる
もともと労使協定が結ばれていなくとも半日単位の年休は取得が認められていましたが、改正では協定を結べば年5日までは時間単位で付与することもできるようになります。今回の改正のうち②については中小企業は適用の猶予がありますし、①と③を導入するのは、協定や就業規則の改定が必要となります。もともと長時間労働を抑制する目的の内容ですので昨今の経済情勢の下では改正による影響は少ないとも思えます。しかし先々のことを考えると長時間労働にならない方策をとっておくことが必要かもしれません。