平成22年度税制改正大綱では、法人税の改革の方向性として、①租税特別措置法の抜本的な見直し、②課税ベースの拡大、③法人税率の引下げを上げています。
しかし、改正案は、企業の競争力強化という視点でみると、法人税の見直しは力不足との印象です。第3回目は、法人課税の主要な改正項目をお伝え致します。
(1)1人オーナー会社の課税(特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度)の廃止
上記の改正は、平成22年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。
(2)グループ内取引等に係る税制については、次のような改正が行われました。
①100%グループ内の法人間での一定の資産の移転(非適格合併等による移含む)及び資本関連取引(現物配当等)については、譲渡損益を認識しない。
②100%グループ内の法人間の寄付金については、支出法人において全額損金不算入とし、また、受領法人においては全額益金不算入とする。
③100%グループ内の内国法人からの受取配当について益金不算入を適用する場合には、負債利子控除を適用しない。
④資本金1億円以下の法人であっても、当該法人が資本金(出資金)の額が5億円以上の法人等の100%子会社の場合、次の特例制度については、適用しない。
イ)軽減税率、ロ)特定同族会社の特別税率の不適用
ハ)貸倒引当金の法定繰入率
ニ)交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
ホ)欠損金の繰戻しによる還付制度。
(3)100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に譲渡する場合には、その譲渡損益を計上しないこととされました。
(4)自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得される際に生ずるみなし配当については、益金不算入制度を適用しないこととされました。
上記の改正は、(2)③、④は平成22年4月1日から、それ以外は平成22年10月1日から適用です。
(5)その他改正事項
①清算所得課税を廃止し、通常の所得課税に移行、②適格合併等における欠損金の制限措置等について、実態に応じて適用要件を見直す等があります。いずれも、平成22年10月1日から適用です。