09年、合計特殊出生率 1.37
日本の出生率の減少は再び始まり、政府発表では2009年上半期の出生数は前年同期比1万1008人減少の53万8,369人で、08年に出生率が少し回復したものの、今年は減少に転じています。新政権は子ども手当の支給や保育所の整備で少子化に歯止めをかけたい、又、直接給付により個人消費も喚起したいと考えているようです。人口維持に必要な出生率は2.08といわれており、その対策は急務といえましょう。
財源の確保が最重要課題
政権公約の目玉でもあった子ども手当は、15歳以下の子どもに一律月2万6千円を支給(2010年は1万3千円)するというものですが、まず問題は財源の確保でしょう。
子ども手当を対象全世帯に支給した場合、国庫負担金は5.3兆円必要といわれています。これは、防衛関連費(4.8兆円)を上回る財政支出です。現在の児童手当は所得制限があり今回の案より支給額も低いのですが、それでも09年予算では1兆160億円とされており、今後財源確保の継続性が問題となるところでしょう。
新政権では無駄な予算の削減、特別会計の「埋蔵金」などに財源を求め、さらに児童手当や所得税の配偶者控除や扶養控除の廃止を表明しています。これら控除の廃止がなされた場合、共働き世帯では影響は少ないものの、専業主婦世帯では子どもがいなかったり、又、子どもの年齢によっても収入が減る事になるでしょう。
政権内で意見の調整 所得制限
連立政権の間でも所得制限についてそれぞれ意見があり、調整を計っているようです。所得制限なしで支給する案や制限をしたり、支給額をおさえて浮いた予算を保育施設の増設等に当てたらというような案もあるようです。
家計の所得減少や男女共同参画の進展で、子どもを保育所に預けて働きたい親が増えており、総合的な育児支援ということなら手当にとどまらず、子どもを産んでも安心して育てられる、雇用情況の改善や育児環境の整備も待たれるところです。