記事投稿日:2013.07.19
相続税の計算方法
相続税の税額計算には一つの特徴があります。「法定相続分課税方式」であることです。これは相続税の計算を、実際の遺産分割の状況にかかわらず、一旦、法定相続人が民法の法定相続分どおりに遺産を取得したものと仮定して各法定相続人の相続税額を計算し、その仮定による税額を合計した「相続税の総額」を実際の相続した方の財産の取得状況に応じて按分するという方法をいいます。ですから、財産をどのように分けようと相続税の総額は変わりません。
相続税の「実効税率」
そこで以下の算式で計算される相続税の「実効税率」が相続対策に役立ちます。
実効税率 = 相続税の総額 / 課税価格の合計額 |
相続・遺贈により財産を取得した方は、
取得財産の課税価格 × 実効税率 |
による相続税を負担することになります。
従って、相続税の負担を減らすには、①算式前項の課税価格(評価額)をいかに低くするか、②いかにして算式後項の「実効税率」より低い税率で財産を移転できるかという二つの道筋が見えてきます。
H25税制改正の「実効税率」への影響
H25税制改正により、H27.1.1以後の相続について基礎控除・税率構造の見直しが行われ、この「実効税率」に影響を与えています。例えば遺産の課税価格8億円、法定相続人(子)2人のケースでは、
H25改正前 | 相続税の総額2.71億 / 課税価格の合計額8億 | 33.9% |
H25改正後 | 相続税の総額2.95億 / 課税価格の合計額8億 | 36.9% |
この試算から、①H25税制改正よる影響は「実効税率」3%増であること②実効税率36.9%より低い税率で生前贈与すれば、税負担を減らすことができることの二点が判ります。相続対策は早期の着手が何よりです。「現状把握」の手始めに、この「実効税率」を確認してみてはいかがでしょうか。
掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。