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2019年10月16日 デューデリ費用と買収合併

M&Aの費用として

デューデリジェンスという言葉は随分と一般化してきました。M&Aの活発化に伴い、買収先の財務内容や法的リスクの調査を委託するのが通常となっています。この調査がデューデリジェンスです。買収案件によっては、この調査費用が多額になることもあります。

有価証券購入付随費用になる場合

税務上、購入した有価証券の取得価額は、その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)と法定されています。企業買収に係るデューデリジェンス費用が有価証券の購入付随費用に該当するかどうかの判断が問題になります。国税不服審判所裁決事例に、これに係る判断がいくつか存在します。

他社を買収するに当たって支出した財務調査費用につき、どの有価証券を購入するか特定されていない時点において、いずれの有価証券を購入すべきであるか決定するために行う調査等に係る支出は、この有価証券の購入のために要した費用には当たらないものの、特定の有価証券を購入する意図の下で有価証券の購入に関連して支出される費用は、有価証券の購入のために要した費用として当該有価証券の取得価額に当たる、との裁決になっています。

買収意思決定取り止めの場合

企業買収を目的として実施したデューデリジェンスが買収の意思決定前に行われたものか否かにより取扱いが異なるということです。もちろん、買収の意思決定後のデューデリジェンス費用でも、実施した結果、最終的に、買収を取りやめた場合には、当然一時の損金に算入することにはなります。

合併目的の場合のデューデリ

なお、M&Aでも、有価証券の取得が目的ではなく、企業の合併を目的とする場合があります。合併を目的として実施したデューデリジェンス費用は、一時の損金として処理することになります。これは、合併が適格合併に該当するか否かで異なる取扱いとなるものではありません。

理由は、合併が、被合併法人の権利義務を合併法人に包括的に承継させるものであることや、デューデリジェンス費用が、合併により移転を受ける個々の減価償却資産や棚卸資産を合併後の事業の用に供するために直接要した費用に該当するとは考えられないからです。

掲載日時点の法令等に基づいて記載しており、最新の制度と異なる場合があります。
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