2019年1月28日 配偶者終身居住権創設秘話

終身居住権の創設はなぜ必要だったのか

民法改正で、配偶者終身居住権が制度創設され、さらにこれを補完するものとして、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住資産が遺贈・贈与された場合に限り、遺産分割での持戻し免除とすることになりました。

直系相続より同世代相続へ

団塊の世代が若い時は、親に仕送りする時代でした。団塊の世代が老人になると、子がいつまでも親の脛をかじりつづける時代に変わりました。

それで、配偶者の相続分を3分の2に、子の相続分は3分の1に、という制度改正が検討されていました。

しかし、その前に片付けなければならない問題が急浮上しました。

人は平等に扱われなければならないけど

平成25年9月4日付最高裁判所の非嫡出子法定相続分差別違憲判決が新たな問題を生むことになりました。

この判決を承け、民法900条の非嫡出子条項が削除されました。その結果、相続の場面に修羅場が生じるケースが想定されることになりました。

非嫡出子は被相続人の子であっても、相続配偶者の子ではないので、相続配偶者が次に死亡して相続開始となっても、その時は相続人の地位になることはなく、今次の相続で貰うべきものを貰わないと、次がないということになります。

血縁での相続と無血縁との相続

実の親子関係であれば、子供は相続財産の取得を遠慮して、取り敢えずは親だけの相続にする、と言うことでも、多くの場合、異論は出ないのではないでしょうか。

しかし、非嫡出子という血縁のない者との関係では、そういうわけにはいかないのは当然です。

違憲判決で、非嫡出子の相続分が増えたことにより、例外的なケースではあっても、被相続人の配偶者の相続後の生活が脅かされることになった、という現実に対処しておく必要性があると民法部会では認識されたようです。

終身居住権の創設はなぜ必要だったのか

でも、非嫡出子にとって相続配偶者の終身まで使用処分できない不動産の所有者になることを積極的に選択することなど考えられません。従って、配偶者居住権は遺産分割で承認しあう中から生み出されることは有り得ず、遺言は欠かせなくなります。

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